
食器の話
― いつかの食卓を ―

【人】 鳴海 海音

ん~~そうだね
1ペアくらいは欲しいかなって思うんだ
もしかして、お揃いとか
ウザイって思う?
一つだけあれば嬉しいかなってぐらいだから!
憧れもあったけど拘るつもりはないよ
[ 2人で暮らすことになって。と言っても
俺が宵稚の家に転がり込んでるんだけど。
2人の新生活!となったら
やっぱりお揃いとかには憧れがあった。
でも出費を抑えたいっていう宵稚の気持ちもわかる。
俺がそんなお金の心配しなくてもいいよって
言えるほど稼げてないことが
悔しく思うしもっと稼げる男になろうと心に誓ったのもこの時。
宵稚は我慢してもらったって思ってるあれそれだって
俺は我慢したつもりはないから安心してよ
っていつかしっかり伝えないとな。
でも形としても欲しかったんだ
一つだけあればそれで十分だよ俺は。 ]
【人】 鳴海 海音

うん! いいの?
マグカップ、俺このシリーズの
ペンギンとクリオネがいい!
[ どんなシリーズだよって君は笑ったかな。
お祭りでの一コマ
俺にとっては大切な一つ
そんな希望を言いながら選んだマグカップ。
どっちがどっちなんて決めたかな?
俺はどっちも使いたいよなんて言っただろうけどね。
ほら、宵稚のものは俺のもの俺のものは宵稚のものだから! ]
【人】 鳴海 海音

─────これ……
[ 海鳴村。宵稚の実家。俺から出た言葉はこれだけ。 ]
【人】 鳴海 海音

[ 青と桃の青海波が散りばめられたペアの茶碗。
焼き物の平皿。
昔に俺にお茶を出してくれた時の思い出の湯呑。 ]
わかるよ
捨てられないこと
……この湯呑とか俺も使ったことあったよね
懐かしいな
宵稚は覚えてる?
この湯呑が俺にはまだ大きくてさ……
[ 目を瞑れば浮かび上がるのは
昔の光景、途切れ途切れだけれど覚えてる。
大きくて両手で持って熱い〜〜!って
涙目になったこと。
少し……君の記憶を確認してみたり、ね。 ]
【人】 鳴海 海音

俺が、使っても……いいのかな
[ 宵稚が使う分には全然大丈夫だろう。
でも俺が家族の中に入っていいのか
今でも少し躊躇って
そんなことを昔もしていたなって思い出して
家族という括りが
どこまでの存在か俺にはよくわかってなかったから。
ただ漠然と愛してくれるんだなとか
俺にはないんだろうなとか
宵稚も……高校の時は
同じ様な思いをしていたのかもなとか
俺は宵稚の力になれていたかなとか
俺自身のことよりやっぱり宵稚のことを考えてしまう。 ]
【人】 鳴海 海音

そうだ
俺達が使わせてもらうこの食器の代わりにさ
旅行や作れる機会があったら
2人の為に作ろうよ
俺たちからのお土産やプレゼント
選ぶのも今から楽しみだ
[ 帰りに海岸に寄って
食器を使わせてもらいますって言おうか。
俺と宵稚と食卓を囲む
そしていつか叶うなら君の両親達とも
希望や夢は持っていたっていいだろう? ]**

