
学園の七不思議村3
思い出話〜白の記憶
2021.1.7

[
白い世界。
白が視界と聴覚を支配する。
]

[ 雪像を作ろうと玄関から外に一歩
踏み出した時だった。
辺り一面が再び吹雪に包まれたような感覚に陥る。
思い出した。
“あの時”もこんな白が支配する世界の中に
僕は居たんだ。 ]

[ それは幼い頃、吹雪の中で出会った不思議な出来事 ]

[ 雪が好きだった。
冬が好きだった。
寒いけれど人の温かさがわかる寒さが好きだった。
冬は呼んでいるんだ。
凍りつくような恐怖を。
刺すような痛みを。
口が震え、吐いた白い息が凍りついて
口に冷気を運んでくる。
ガタガタと歯が痺れたように動き続ける
寒いよ。冷たいよ。凍えてしまうよ。
でも、でも妹だけは守らなければーーーー。]

[ 幼少期、家族で訪れた雪山のコテージ。
キラキラと光る雪が眩しくて、冷たい感触が楽しくて。
気がつけば遊びに夢中になって
コテージから大分離れてしまった。
次第に雪が降ってきて、吹雪に変わる。
先程までの晴天とは打って変わっての悪天候。
幼い子供が道に迷い不安になるには十分すぎた。
「寒いよね。ごめんね。お兄ちゃんが温めてあげるから」
寒さで震え、泣く妹に呼びかけ
覆うように妹を懐に隠すがやがて二人とも雪に埋もれていった。]

[ 寒かったはずなのに
震えが止まり体が熱くなってきた
呼吸が少なくなり意識が遠くなってくる
気がつけば妹も静かになっていた。
「どうしよう、ごめん、頼りないお兄ちゃんで…」
妹だけは助けたい
そう願った時に目の前に白い、揺らめく何かを
ぼんやりした目で見つけた。]

[
ーーーー子供か…だが大きくなれば……役に立ちそうだ。
助けて欲しいか?
うんーーーー。妹を、妹だけは助けて欲しい。
ーーーーそうか、では二人とも助けよう。
だがお主が成長し、私のことを思い出し
誰かに私の話した時は……。
再びお主を白い世界へと連れて行こう。 ]

[ そうして目を覚ました時にはコテージの布団で眠っていて
とても温かくて、妹も無事で……。
でもここまでどうやって辿り着いたか、何も思い出せなかった。]

突然こんな話をしだして僕…どうしたんだろうね
ただ、思い出したから……
話さないといけない気がしたんだ。
僕は出会っていたんだ。あの時、雪女さんに……。
[ すると今の場所が何処だったかがわからないくらい
冷たい雪が辺り一面を白い世界へと変えた。]
[ ーーーーーー 白い世界。
覆っていた白が視界から消えた時。
先ほどまでここに存在していた彼の人物も
姿を消していた。ーーーーーーーー…… ]
これは存在したかもしれないもう一つのEND

